安全運転の基本は、正しいドライビングポションを取ることから始まります。
車の運転の基本となる、正しいドライビングポジションについて説明します。
ドライビングポジションとは
ドライビングポジションとは、車を安全に走らせるための基本となる「運転姿勢・位置」のことを言います。
運転姿勢と位置が正しければ、常に良い視界が保ちながら運転すること、車と一体感を持ってハンドルやペダル操作を行うことが出来ます。
この基本がしっかりできていないと、ドライバーは車の動きを身体で感じ取れないだけでなく、加減速やカーブ、路面の段差など、常に身体が揺すられながら走る走行環境の中でで体が揺れてしまい、正しい運転姿勢を一定に保つことができません。
プロのレーサーでさえ、正しいドライビングポジションがとれていなければ車を正確に走らせることは難しいのです。
では正しいドライビングポジションはどのように作ればいいのでしょうか。
正しいドライビングポジションの作り方
正しいドライビングポジションの作り方の手順について、詳しく説明します。
1、シートポジション
・シートに深く座る
まずは座席を調節するところから始めましょう。
座席の位置を「シートポジション」と言いますが、このシートポジションの調節から始めていきます。
始めに、お尻と座席の角に隙間が出来ないように奥深く腰掛けます。
・前後位置の調整
シートに奥深く腰掛けたら、座席を前後にスライドさせて調節します。
左足をフットレストに置き、右足のかかとを床につけアクセル・ブレーキペダルを奥までしっかり踏んだ状態で、膝に少し余裕ができる位置座席に合わせましょう。
かかとを上げた状態と固定した状態とでは、アクセルからブレーキに踏み換えるのに0.1~0.2秒の差が生じます。
0.1秒の差が、万が一の時の状況を大きく左右します。
アクセル、ブレーキのペダルがしっかり奥まで踏み切れることがとても重要なのです。
正しいシートポジションを保つことで、コントロール性も向上します。
・シートの高さ調整と視界
次にシートの高さの調節です。
運転をする上で重要なポイントの一つが「視界」ですが、シートの高さがこの視界に大きく影響します。
座席が高いほうが視界は良くなりますが、高すぎると身体が揺れすぎてしまうので注意しましょう。
カーブや山道を走るときには曲がる際に体が揺れるのを押さえるために座席は低いほうが良いのですが、低いと視界は悪くなります。
その日走るルートや状況に応じた高さ位置に調節することが大切です。
・シートバック(バックレスト、背もたれ)の角度調整
次に、シートバック(バックレスト、背もたれ)の角度調整です。
ここではハンドルと腕の位置関係を調整します。
背もたれを後ろに倒しすぎるとハンドルが遠くなり、大きく回したい時に手が届かなくなってしまいます。
カーブや山道などを走る時にも遠心力で横方向に力が掛かり、ドライバーの肩が背もたれから外れてしまい不安定な運転操作にもなりがちです。
逆にハンドルが近すぎても窮屈になり、ハンドルが切りにくくなってしまいます。
シートバックの角度は、両手でハンドルを持った時肘が軽く曲がるくらいを目安にしましょう。
腕を大きく回すことができ、スムーズな運転操作が行えるようになります。
また最近の車にはエアバッグが装着されているため、ハンドルの中央からドライバーの顔までの距離を25cm以上空けるようにしましょう。
衝突が起こった際に、エアバッグはまばたきよりも早いスピードで広がります。
ハンドルが近すぎたり、シートベルトが正しく装着されていなかったりすると、怪我をする可能性があるので注意が必要です。
・ヘッドレストの調整
ヘッドレストは、車の座席にある背もたれ上部の枕状の部分のこと。
正式にはヘッドレストレイン(head restraint)と言います。
「レストレイン」は拘束や抑制を意味し、車においては後ろ向きにぶつかった時に頭や首へのダメージを低減するためのものとして設置されているのです。
万が一衝突した際のことを考慮して、ヘッドレストと頭の位置は同じ高さに調整しましょう。
・ハンドル(ステアリングホイール)の位置の調整
次にハンドルの位置を調整しましょう。
ハンドルは英語でステアリングホイールと言います。
右に前進後退したいときはステアリングホイールを右回りに、左に前進後退したいときは左回りに回転させ、ステアリング機構を操作します。
なるべくステアリングホイールを低くした状態で、近さが調整できる場合にはシートバックの角度を微調整しながら、腕の位置を調整しましょう。
2、ルームミラーとサイドミラー
ドライビングポジションを正しい位置に整えたら、次にミラーの位置を調節していきましょう。
車のミラーは「ルームミラー」と「サイドミラー」があります。
これらのミラーは後方の視界の情報を得るための重要なポイントです。
できるだけ多くの周辺状況がわかるように適切な位置に調整します。
・ルームミラー
まずルームミラーから調整していきましょう。
ルームミラーは、ミラーの中心とリヤウインドウ(車の後ろの窓)の中心が合うように左右を合わせます。
リヤウィンドウが最も見える位置に調整しましょう。
・サイドミラー
車の左右両サイドについているサイドミラーは、運転席側ドア内側の脇にある調整用のスイッチで位置の調整をします。
まずは右側から調整します。
右のサイドミラーは右側後方の車の位置が分かるように、ミラーの下半分に道路が映るように合わせます。
そして車体がミラーの左側に4分の1程度映るように調整左右しましょう。
左側のサイドミラーも同じように、ミラーの下半分に道路が映り、車体が4分の1映るように合わせます。
3、シートベルトの掛け方
シートベルトの掛け方も、正しいドライビングポジションを作るうえで大切です。
なにげなくしがちなシートベルトですが、シートベルトにも正しい着用方法があるのです。
正しく装着していないと万が一の時に命を失いかねません。
シートベルトの正しい着用方法を解説していきましょう。
まずシートベルトは、鎖骨、肋骨、胸骨、骨盤に正しく沿うように着用します。
シートベルトの金具をバックルに差し込むときは、肩ベルト、腰ベルト、全体の確認の3つのポイントを押さえておきましょう。
手順としては、
- 鎖骨の中央から肋骨、胸骨を通るように肩ベルトを着用します。
- ベルトが骨盤の左右の腰骨をしっかり押さえられるように腰ベルトを着用します。
- 最後にシートベルトの金具をバックルに差し込んだら、肩ベルトを横方向に少し強めに引いて、腰ベルトのたるみを取ります。
腰ベルトの位置が高いと腹部が衝突の衝撃に耐えられず内臓を痛める恐れがありますので注意してください。
ベルト全体にねじれやよじれがないことを確認します。
シートベルトは正しく装着して始めて効果が出ます。
ドライビングポジションをしっかり整えて、運転の準備をするようにしましょう。
窮屈そうなドライビングポジションのメリット
プロのレーサーは、身体とハンドル位置、アクセルやブレーキなどのペダルが近く、窮屈なドライビングポジションを取っていますよね。
この窮屈なドライビングポジションには、運転する上でのメリットが多くあるのです。
これらのメリットを解説していきましょう。
1、正確な操作が出来る
窮屈そうなドライビングポジションを取ると、細かいハンドル操作やアクセル、ブレーキ操作が素早く出来るようになります。
運転操作が楽に、なおかつ正確に出来るようになることも、窮屈そうなドライビングポジションをとるメリットです。
2、疲れない
窮屈そうなポジションをとると、窮屈な分だけシートに身体が密着しているため、身体がシートに固定された状態になります。
シートに身体を完全に預けられることによって、カーブや道路の凹凸などで身体が大きく揺さぶられることがなくなるのです。
そのためこの姿勢に慣れれば、長距離ドライブや山道などのドライブでも疲労を感じない運転が出来るようになります。
3、集中出来る
身体をシートに完全に預けてしまうことで、運転が楽になり集中してドライブを楽しむことができるようになります。
長距離ドライブでも集中力が途切れないので、慣れてしまえば窮屈そうなポジションはメリットが多いのです。
ドライビングポジションの悪い例
ドライビングポジションを作る上での悪い例が3つあります。
これらを細かく解説していきます。
1、浅く座っていて、シートの奥から腰が離れている
シートの奥から腰が離れていると、身体が安定せず、カーブやとっさのブレーキをかける際にとても危険です。
ドライビングポジションを作るときは、シートの奥深くに腰掛けることを習慣づけましょう。
2、肘と膝が伸びすぎている
肘が伸びすぎていると、ハンドル操作がスムーズに行えません。
大きくハンドルを回したい時に、手が届かなくなってしまいます。
また膝が伸びすぎていると、ブレーキやアクセルのペダルをしっかり踏み込むことが出来ません。
少し窮屈なくらいのドライビングポジションを作るほうが、安全に運転することが出来ます。
3、身体が前のめりになっている
あまりに窮屈すぎるドライビングポジションを作ってしまうと、身体が前のめりになってしまいます。
急ブレーキをかけた時などに大変危険ですので、前のめりになっていると感じる場合は少し余裕を持った位置に直し、背中とシートは密着させるようにましょう。
まとめ
初心者の方もベテランドライバーの方も、正しいドライビングポジションが取れているかどうかもう一度見直してみてくださいね!