「憧れの新車を手に入れたので、遠くにドライブに行きたい!」
でも、ちょっと待ってください!
愛車の本来の力を発揮させるためには慣らし運転という準備体操が必要です。
とはいえ「慣らし運転の方法がよくわからない」「そもそも慣らし運転って必要?」と思う方も多いと思います。
そこでこの記事では、慣らし運転は必要な理由と、慣らし運転の方法をお伝えします。
2分で読めますし、慣らし運転についての疑問を解決できますので、まずはご一読を!
慣らし運転とは
慣らし運転とは、新車で購入した車を一定の走行距離と一定のエンジン回転数で走行し、車の本来持っている性能を良好な状態にすることをいいます。
例えば、いきなり体操もせずに運動を始めると本来の力を発揮できなかったり、下手をするとケガをしてしまう恐れがあります。
十分な準備体操が必要ですよね。
実は車も同じで、慣らし運転が準備体操に当てはまります。
一般的に新車の金属同士の接地面は馴染んでおらず、そのまま大きな負荷を与えると傷が付いてしまうもの。
そのため、一定の低い負荷を与え続けてなじませることが必要で、この作業を「アタリをつける」と呼びます。
一般的には慣らし運転というと、「エンジン」の慣らし作業を行うものとして考えられています。
慣らし運転は必要?
現在のエンジンや車体は工場で大量生産されていますが、精巧に作られているため、慣らし運転をしないとエンジンが壊れてしまう!という訳ではありません。
実際各メーカーも、慣らし運転に対する意見は「特に必要ない」という回答が多いのが現状。
しかし、慣らし運転をすることにより次のような効果が現れます。
- エンジンの本来の性能が発揮される
- 燃費が向上する
- エンジンの性能が維持される
- 不具合を発見できる
- 運転手が新車に慣れることができる
一つずつ説明しますね。
エンジンの本来の性能が発揮される
新車で組まれたエンジンは工場出荷時に検査工程で回し、ある程度のあたりは出しています。
しかし、検査工程の設備でエンジンを回すだけでは不十分で、完全にあたりがついたという状態ではありません。
さらに、適度にエンジンに負荷を与えることも重要ですが、この「適度な負荷」は実際の道を走行させることが最適な状態なのです。
まとめると、「ある程度実走しながら距離を走行し、じっくりと時間を掛けて慣らしをおこない、十分なあたりをつける」ことにより、エンジンの持つ本来の性能が発揮されます。
燃費が向上する
車の慣らし運転をすると、燃費が向上します。
エンジン内部の金属同士のあたりを出すことで摩擦抵抗が減り、各部の動きがスムーズになるからです。
これはエンジンだけではなく、ベアリングなど、動きが発生する全ての部分に言えるでしょう。
もう少し具体的に言うと、慣らしによって綺麗にあたりがつくと、結果的に走行に必要な部分の動きがスムーズになります。
エンジンだけでなく、車全体も少ないエネルギーで動くのです。
少ないエネルギーで車が動くと、余分にアクセルを踏み込む必要もなくなり、結果的に燃費が向上します。
その分、お財布にも優しくなりますね。
エンジンの性能が維持される
慣らし運転をすると、エンジンの性能を調子の良いまま維持できます。
慣らし運転によって、余分な摩耗を防ぐことができるからです。
もし慣らし運転をしなかった場合、金属同士にいつまでもあたりがつかず、互いに傷つけ合う状態がつづきます。
そのため、慣らし運転をした場合に比べて、長持ちしなくなってしまうんです。
新車を長持ちさせるためには最初の調整が肝心。
摩耗を最小限に抑えて、長期的に使用しても性能が落ちることがない、「丈夫で壊れにくいエンジン」に仕上げていきましょう。
早い段階で不具合を発見できる
慣らし運転をすると、早い段階で不具合を発見できます。
現代の製造技術でどんなに精巧に作られた製品でも、数パーセントは必ず初期不良が発生してしまうことも。
特に車の部品は約3万点と言われており、膨大な数の部品を結合し作られています。
本来あってはならないことですが、これだけ膨大な点数の部品が使われ、大量生産されていると、ごく稀に一部の部品が振動で緩んだり、変形することも。
慣らし運転を行うとほどよいペースで走行し続けるため、安全なペースで初期不良を発見できます。
運転手が新車に慣れることができる
新車は当然以前の車と形も大きさも違うはず。
でも乗り変えて間もない状態の時は、以前乗っていた車の感覚が残っているものです。
つい前の車の感覚で運転し、せっかく購入した新車を「駐車するときにこすってしまった….」となってしまっては悲しすぎますよね。
新しい車の車幅感覚、操作に慣れることが重要です。
慣らし運転を行いながら自分も新車に慣れるように練習しましょう。
慣らし運転の仕方
慣らし運転はいきなりエンジンを高回転にすることではなく、回転数を抑えて一定の距離を走行します。
各部品をなじませるイメージですね。
意識することは「回転数の上限を決め、急な動作をせずスムーズな運転を心がける」ことです。
慣らし運転の具体的な方法をお伝えします。
マニュアルミッション(MT)車の場合
スタートは上限回転数を2000rpmに設定し、その後走行距離が1000キロ進む毎に1000rpmずつ上げて走行するようにしましょう。
回転数はrpmと表記しています。(エンジンが1分間に何回転するかを表しています)
(全部で3回走行をおこなう)
回転数はあくまで上限のため、無理に上限回転まで回さなくても大丈夫です。
安全運転を心がけてくださいね。
オートマチック(AT)車の場合
最近のオートマチック車はタコメーターがついていない車種も多くなってきました。
オートマチック車も、慣らしの方法は基本的にはマニュアル車と同じです。
走行距離は上限回転2000rpmでスタートし、1000キロ走行ごとに上限回転を1000回転上げ、3000キロまで行いましょう。
その場合は、以下のことが挙げられます。
- 一般道は普通に走っていれば問題無い
- 高速道路は時速80キロで走行する
- 下り坂でエンジンブレーキを使用しない
- 急加速はしない
順に説明すると…
1.一般道は普通に走っていれば問題無い
一般道を普通に走行するとエンジン回転数は3000rpm以上の場合になることはほとんどありません。
急な動作を行わなければ、特に走り方を意識しなくても問題ありません。
2.高速道路は時速80キロで走行する
高速道路では時速80キロぐらいで走行すると、エンジン回転を抑えて走れます。
大手運送会社の大型トラック(速度制限のリミッターがついているトラック)が80キロで走行しているため、走行の基準にしましょう。
3.下り坂でエンジンブレーキを使用しない
下り坂でエンジンブレーキを効かせると、車の慣性と重量でエンジンに急激な負荷が掛かります。
※エンジンブレーキとは、エンジンの回転を利用したブレーキのことです。
慣らし運転中は無理のない速度で、フットブレーキも積極的に活用しましょう。
4.急加速はしない
AT車の場合は急加速でアクセルペダルを一気に踏み込むと、加速するために自動でギヤが1速シフトダウンされます。(キックダウンといいます。)
すると急激にエンジンが高回転になってしまい、負担が掛かります。
慣らし運転終了後はエンジンオイルを交換する
慣らしを運転を終えたエンジンオイルの中には、金属同士が擦れて発生した鉄粉が沢山混ざっています。
慣らし運転を終了したらエンジンオイルとオイルフィルターを交換しましょう。
抜いたオイルを見て、なんとなくキラキラと見えるものが鉄粉です。
慣らし運転をする場所
次に慣らし運転をする場所について、考えてみましょう。
一般道路で慣らし運転
慣らし運転は一般道で行って問題ありません。
一般道路で行うメリットは「基本動作を均一に慣らすことができる」こと。
走る、止まる、曲がるといった基本動作を全て行うため、全ての部分に負荷をかけられます。
逆にデメリットは「距離を走ることができない」ということが挙げられます。
スピードを出すことができないため、なかなか慣らし運転を終えることができません。
高速道路で慣らし運転
高速道路は基本的に一定スピードで走行するため、エンジンやミッションに負担を掛けないというメリットがあります。
一方、減速やコーナーが無いため、ブレーキやハンドルといったエンジン以外の部分を十分に慣らすことができません。
高速道路だと当然料金も発生してしまいます。
また、高速道路はスピードが出ているため、くれぐれも安全運転で行いましょう。
慣らし運転は一般道で行った方がいい
高速道路と一般道路での慣らし運転はどちらも一長一短ありますが、結局どっちで行えばいいの?という問題が出てくるでしょう。
おすすめは一般道で行うこと。
なぜなら、車のエンジンの慣らしよりもハンドル操作、車幅感覚などといった「新しい車に慣れる」という意味合いの方が大きいからです。
慣らし運転は難しく考えずに、車に準備体操をさせる気持ちで運転すれば大丈夫です。
大事に運転し、大切な愛車と長く付き合いたいですね。
まとめ
慣らし運転をすると、エンジンの性能を調子の良いまま維持できます。
もし慣らし運転をしなかった場合、金属同士にいつまでもあたりがつかず、互いに傷つけ合う状態がつづきます。
慣らし運転をした場合に比べて、長持ちしなくなってしまうんです。
新車を長持ちさせるためには最初の調整が肝心。
摩耗を最小限に抑えて、長期的に使用しても性能が落ちることがない「丈夫で壊れにくいエンジン」に仕上げていきましょう。